|
1.
今回は、チェーンのテンション(張を調整) スライドスクリューの台座部分が破損
(4番目の写真)
その修理を行うが、これは、エンジン・クランクケースと一体になっているので、ほぼ全て分解が必要となる。
そのため、当該機を持っている人、(自分で修理を行いたい人)のために分解の注意点等を解説hしながら、写真を撮る事にした。
この時点でガイドバーとチェーンは外してあります。 |
|
2.
六角レンチでリコイルASSを取り外します。
リコイルの、ひも交換は又、別メニューで解説しますので、ここは軽くスルーします。 |
|
3.
フロントハンドルネジ2本ンとフロントガード、ネジ1本(カラーとスプリングの状態を良く確認して分解する事(後で写真載せます) |
|
4.
破損したスライドスクリューの台座部。
エンジンのクランクケースと一体です。
まず、マフラー脱これは笑顔でスルー
次に遠心クラッチ脱。
ここで第一のSST(スペシャル・サービス・ツール)登場
クラッチを外すには、クランクシャフトの回転を止めて、クラッチ本体をOFFの方向(写真)に回すと外れます(逆ネジとなってます)
クランクシャフトの回転を止めるには・・・
色々方法がありますが、マグネット(クラッチの反対側)のフィンにドライバー等をいれて抑える方法(78.)、マフラーの排気ポートにプラスチック等の棒を入れて、ピストンをロックする方法、プラグ部にSSTを入れてピストンをロックする方法・・・・
今回は後者の方法でクランクシャフトを固定する。
|
|
5.
写真上が、クラッチを外すための工具
これは、自作工具でクラッチの3箇所の隙間に3本のツメを挿入して回す工具
下も自作工具で、プラグ部にネジ込ピストンが上死点に達する前にピストンの動きを止める工具
こちらは賛否両論だが、ホビー用の小型エンジンではポピュラーな工具でもある。
|
|
6.
ピストンを止める工具はプラグのネジ部以外をはずして(壊した)陶器部分にナットを溶接
そこに長めのボルトを挿入(ボルトの頭は丸く削った)して作った工具
非常に便利である。 |
|
7.
6.の様な工具を用意出来ない場合、写真の排気ポートに物を入れてピストンを止める事も可能。であるが、あまり進める事はできない。
固いドライバーなどを入れると、ピストンが破損する可能性大!!!
やわらかい物だと、破断して燃焼室内に落ちる。
僕は、初め硬質ゴムを使ってみたが、3回目くらいで破断!切れたゴムを取り出すのに苦労した経験があります。
|
|
8.
クラッチをまわす工具はこの様にクラッチに当てます。 |
|
9.
6.の工具でピストンを固定後、OFFの方向(逆ネジ)まわしてクラッチ脱 |
|
10.
クラッチ本体を外すとクラッチボス(円形のカラー)も一緒に外れます。
ボスには向きが有ります。
要確認!
|
|
11.
クラッチ本体を外すと、クラッチドラムが抜ける。この時スプロケットギヤの摩耗も検査。
大抵、富士山型(サイドが削れて低くなり山型。山の天辺が摩耗でへこむ)になるが、摩耗が激しいと、チェーンのテンション(張)調整で不具合が出てしまう。
チェーンのテンション調整したのに、少し使うとチェーンのテンションがたるむ。又は、
パンパンに張ってしまい、動かなくなる。
こんな症状は、このギヤの摩耗が原因!
|
|
12.
次はキャブレターの脱
カバーとエアークリーナーを外すとキャブを固定する2本のボルトが見える。
これを外す。
チョークのシャッタープレートの中心と反対側のボルト位置に、それぞれシムがある。(薄いワッシャー)これをキャブ内部に落とさない事!
最悪、燃焼室まで落ちます。
|
|
13.
ボルト、シャッター、シムを取り除いたら、燃料ホース2本を外し、最後にアクセルのリンクをひねる様に外します。 |
|
14.
次はネジ4本固定のリアハンドルASSを笑顔で外します。 |
|
15.
形状の特殊な物なので使用ネジ場所を記憶! |
|
16.
キャブを外したらホースの位置関係を記憶! |
|
17.
リアはんどるASSが持ち上がるので、燃料はホースを引き抜きます。
ホースは2本!どの穴に入っていたか記憶する事! |
|
18.
リアハンドルASS下部にアース用のスプリングが入っていますが、これはすぐに落ちます。
部品を無くさない事! |
|
19.
最後に、キルスイッチのアース端子をスイッチがら引き抜く。 |
|
20.
バラした部品は付属のネジも含めてまとめて置きましょう。
特にネジ類は注意が必要です。
|
|
21.
スパイク(ボディー前部のギザギザ)は、外さなくてもいいですが、刺さると痛いので外して置きましょう。
|
|
22.
チェーン・オイル ポンプカバーを笑顔で脱。
使い込んだ機械だと、このプラスチック製ギアが摩耗しています。 |
|
23.
ピニオンギアを外すと内側にカラーが入っている。 |
|
24.
このカラーは片側がテーパーになっていて、それがエンジン側になる。 |
|
25.
シャフトオイルポンプの脱
ドライバー等で上部に持ち上げると簡単に外れる。
グロメット(ゴム部)の下に強めのスプリングが入っている為、引き抜く時、グロメットとスプリングが勢い良く飛び出すので注意! |
|
26.
チェーンオイル・ポンプ本体はプラスネジ2本で固定されている。
ギアを回して、ネジ部に合わせる
|
|
27.
ネジが固かったのでショックドライバー使用。 |
|
28.
ネジを外すとポンプ本体を持ち上げられる。
付属ネジを落とさない様に注意!
|
|
29.
ポンプ本体と、エンジンの間にはガスケット(ゴム製)がある。
固着している場合が多いが、失くさない様、外して保管! |
|
30.
ポンプの固定場所にはオイルのラインがあるが、下がタンク側、上がガイドバー側。
オイルのラインには細かい木くず等、ゴミが混入しているケースがあるので、それぞれ、エアーでゴミを除去しておくといいでしょう。 |
|
31.
マグネット・イグニッソンコイル側のカバー脱
4カ所ネジの長さが違うので、間違えない様注意!
カバーを取り外す時、燃料、オイル・タンクの蓋が、引っ掛かるので、キャップを外して作業した方が、楽かもです。 |
|
32.
カバーを外すと、オイルまみれの木くずやら、カーボンやらが、ごってり!
この状態できれいにしておきましょう。 |
|
33.
燃料タンクを外すには、燃料ホースを先に外しておきます。 |
|
34.
ホースを引き抜いた所。 |
|
35.
後は、タンクを横に引き出せば、取り外し完了。 |
|
36.
パルスチューブ(クランクケース内の負圧をとるチューブ)も邪魔なので引き抜いておく。 |
|
37.
オイルタンク取り外しは、タンク本体を外した燃料タンク側にスライドさせ、エンジンジョイント部を外しておく。
その後手前にスライドさせると、とりはずせます。 |
|
38.
やっとクランクケースが見えてきました。 |
|
39.
今回の型は、イグニッションコイルと、コンデンサーが繋がっていますが、新しい型にはコンデンサーはありません。
イグニッションコイルの取付ネジの場所にプラスチック製のシムがあります。
他の作業をしている時に落としてなくさない様、外して保管する事。 |
|
40.
イグニッションコイルを本体から引き抜くためには、プラグキャップ(ゴム製)を外して置く必要があります。
プラグキャップ内にオイル等を縫っておくとすんなりと、キャップが引き抜けます。 |
|
41.
いよいよ、エンジンカバーからエンジンを外します。
取り付けボルトは5本
上側2本 |
|
42.
取り付けボルト下側2本 |
|
43.
取り付けボルト、シリンダーヘッド部に1本 |
|
44.
取り付けボルト5本外すと、エンジン本体が横に引き抜けます。 |
|
45.
マグネットローター脱。
センターのボルトをインパクトではずします。
インパクトが無い場合は、ピストンをロックしておきましょう。 |
|
46.
マグネットローターは、圧入されています。
プーラーが必要ですが、
写真の様な掛け方は絶対NG!
ローター端部とフィンが破損します。
必ず壊れます!!!!!
|
|
47.
プーラーはマグネットローターのネジ穴に適当なボルトをネジ込、そこにツメを掛けて、引き抜きます。 |
|
48.
ここでやっと破損したクランクケースを笑顔で脱。 |
|
49.
上側が新しいクランクケース。 |
|
50.
シリンダー側のクランクシャフト拡大
クランクシャフトに取付られた、オイルシールと、ニードルベアリング。
ベアリング中央にはオイルを回すスリッドがあるが、クランクケースを組み付ける時に施された液体パッキンがスリッド内に入って、オイルラインを塞いでいる状況。
最悪はニードルベアリングにオイルが行かなくなる可能性があるので、
組み付け事の液体パッキンの塗量は注意が必要。 |
|
51.
クランクシャフトは簡単に引き抜かる。 |
|
52.
この状態でクランクシャフトのガタ等検査。
異常がある場合は、クランクシャフト自体はアッセン交換となる。 |
|
53.
ピストン、ピストンリングの検査。
カーボン等、除去しましょう。 |
|
54.
シリンダー内壁も目視と指で触ってキズが無いか?検査。
余分な(はみ出した)液体パッキン等、除去。 |
|
55.
分解したパーツアレイ。 |
|
56.
せっかくなのでオイルシールは交換。
スプリングが入った方が内側。 |
|
57.
ちなみに焼き付きを起こしたピストンはこの様になっている。 |
|
58.
ついでなのでピストンを外して、オーバーホールしてみる。
ピストンピンを抜くにはピストンサイドのCリングを外す。
細いドライバー等で外す事が出来るが無理に行うと、変形(多少の変形は修正可能)して再利用が出来なくなる。
取り外し事は、Cリングが跳ねて紛失に要注意!!! |
|
59.
Cリングはドライバーで端部を持ち上げ、その後ラジオペンチでC字の切れ目方向に回す様な感じで取り外すと、簡単に脱。 |
|
60.
バイクや自動車のピストンピンは指で押すだけで抜けるが、シンダイワのピストンピンはピストンとのクリアランスが少ないせいか、脱着が非常にきつい。
初めは、ピストンピンより少し細いボルトを利用して穴の開いた木製台を作りその上でハンマーで叩く事をしていた。(SSTが無い人はそうする他ない)
|
|
61.
このSSTはE-350AV専用という訳ではない(シンダイワ製ECD577エンジンカッター用)が、この手の修理には便利です。 |
|
62
ピストンピンが抜けたところで、ピン表面に傷や凸凹が無いか?、写真には無いがニードルベアリングにガタが無いか?.スラストワッシャーにガタが無いか?
検査する。
|
|
63.
ちなみにピストン上部の矢印マークは、排気ポート側です。
組み付け事には要注意! |
|
64.
ここから組立作業!
E-350AVのピストンリングは、2本とも同じ物なので上、下は無いが、ピストン本体にピンが入っているため(リングの回転防止)形状を合わせる必要がある。
又シリンダーに挿入する時は2本のピストンリングをこのピンと合わせてから挿入する。 |
|
65.
きれいにカーボン除去、検査をしたら、ピストンをもう一度、コンロッドに組み付ける。 |
|
66.
パーツリストの様にニードルベアリングを挟んでスラストワッシャー。この状態でピストンに合わせて、とてもきついピストンピンを入れなければならない。
しかし、スラストワッシャーは手を放すと落ちる。
少しでも作業しやすい様、ワッシャーにグリスを塗っておく。 |
|
67. グリスの粘度でワッシャーが落ちなくなるので作業が楽になります。 |
|
68.
ピストンピン挿入のコツ
①ピストン本体(まだコンロッドを合わせず、単体で)にピストンピンを先に少し挿入しておく。
②SSTやハンマー(プラスチックハンマー)を使用して、少しづつピンを挿入(まだピストン単体)
③ピストンの内側を指で触り、ピンがぎりぎりまで(面いち)少しづつ挿入
④ここではじめてグリスを塗り付けた、コンロッドをピストンに合わせる。(排気ポート矢印を合わせる事)そして、少しだけピンを押し込む。(1度で穴が合えばラッキーだが、まず無理)
⑤ピンがピストン内側より出てくるのでスラストワッシャー等が挟まれて動きがしぶくなる。(しぶくなるまで少しづつ押す)
⑥目視でピンとスラストワッシャーの位置関係を確認して、コンロッドを手でグリグリ動かしながら、ピンが合う様位置修正をする。
⑦大たいこれでポコッ!とピンがすらすとワッシャに合ってくれる。失敗した場合はピンを少し戻し③からやり直し。 |
|
69.
1度合ってしまえば、後はグリグリ押し込みますが、くれぐれも、ピストンピンを抑えるCリングの溝より押し出さない様慎重に。 |
|
70.
Cリングのはめ込みのコツは
Cの片側をラ字をペンチで持ち反対の端部をピストンの溝に合わせ、ねじる様に取り付ける。
(Cリングのペンチでつまんだ端部を反対の端部(ピストン溝に合わせた)にくっ付ける様な方向にねじり込む感じ) |
|
71.
ピストンをシリンダーに挿入。
①まず、シリンダーとクランクシャフトの向き、排気ポートとピストン矢印位置を確認。左写真ではワコーズ液体パッキンが置いてある方がクラッチ側、下がマグネットローター側。
②ピストン上部のピストンリングを64.で説明した様、ピストンリングを指先で位置合わせして
反対の手でクランクシャフトを少しひねりながら押し込む。
③上側のピストンリングが収まったら、同じ要領で2番目のピストンリングも収める。
この作業の時シリンダーに潤滑油を塗っておくと作業がし易い。 |
|
72.
クランクケースを組み付ける前に液体パッキンを塗り付ける。沢山塗る必要は無い。(少ないくらいの方が良い)50.の様にオイルラインにパッキンがはみ出さない様、特に注意。 |
|
73.
クランクケースを組み付けの際、向きを良く確認する事。(逆向きでも収まってしまいます)
締め付けボルトは4本。まず4本とも3~4回まわしてボルトが落ちない程度に取り付け、その後、軽く手で締まる程度までねじ込む。
この後は、ボルトを対角線順に少しづつ均一に締めます。
エンジンが組みあがったら、41.~44.工程の逆で、エンジンカバーを笑顔で着。 |
|
74.
チェーンオイル・タンクの着
写真のタンク上部にエアーバルブがあるが、ここにゴミが詰まっていると、オイルの出が悪くなるので良く掃除する事。 |
|
75.
取り付けは37.の逆で、燃料タンクのスペースから押し入れ、クランクケースにある、チェーンオイルポートにタンクのノズルを合わせて、押し込む。 |
|
76.
燃料タンクの取付前に黒いキャップの下にブリーザーバルブがある。
ここが詰まると、燃料がキャブに行きづらくなって、エンジンの不調の原因となる。
この不調は、判別が難しく、燃料が悪いのか?プラグが悪いのか?キャブが悪いのか?
さんざん悩んだあげく、ブリーザーバルブの詰まりなんて事もあるので、ついでに掃除をしておきましょう。 |
|
77.
ブリーザーバルブのキャップは非常にキツイので潤滑油を塗ってネジ込ます。
タンクの組み付けは33.~35.の逆。 |
|
78.
マグネットローター組み付け。
ローターを組み付けるシャフトには、キー(パーツリスト部品番号12)があるので、ローターの凹みと合わせて挿入。
7.の要領でクランクシャフトを固定。センターのナットを締め付ける。 |
|
79.
マグネットローターに取り付ける、リコイルスターターのラチェット着。
ラチェット、スプリングの収まりは、写真の様。 |
|
80.
iイグニッションコイル着。
プラスチック製のスペーサーを忘れずに挟み込み、ボルトで仮止め。 |
|
81.
ローターとイグニッションコイルには、適度な隙間が必要。
コピー用紙を四つ折りにして、隙間ゲージ代わりに。 |
|
82.
四つ折りコピー用紙が余裕ですり抜ける程度で調整。
この作業時、ローターのマグネット部をイグニッションコイルの反対側(マグネットが向いているとくっ付いて作業しづらい)にして作業。 |
|
83.
テンションコードのケースにはゴム蓋がある。丸くなっているのが内側。 |
|
84.
プラグキャップを戻す。
テンションコードには、スプリングを外した時の穴があるので元の様に収める。
潤滑油を塗ってゴム製キャップをねじ込む。 |
|
85.
次はオイルポンプ着
ここは笑顔でスルー。22.~29.の逆要領。 |
|
86.
シャフトの向きは逆でも問題は無いが、スプリングが固いのでグロメットを押し込んで確実にリンクが繋がっている事を確認。
ポンプカバーを6本のネジで止める。 |
|
87.
クラッチドラム着。
写真に写っていないが、ベアリングを入れて、オイルポンプのギアとクラッチドラムのギアを合わせて収める。 |
|
88.
クラッチボスには裏表があるので注意。 |
|
89.
出っ張りが大きい方が表側。
クラッチ本体は7.~10.の逆要領で取り付ける。 |
|
90.
マフラー取付。
よくネジ脱落を起こすのでネジ緩み防止剤塗り付け。 |
|
91.
リアハンドルASS取り付け
基本的には14.~19.の逆要領だが、インパクトホースと、燃料ホースを先にハンドルに取り付けてから作業のほうが楽です。 |
|
92.
最後にアース用のスプリングを忘れないで、取り付けネジ止め。 |
|
93.
キャブの取り付けは、先にアクセルのリンクを引っ掛けてから、ホース接続。 |
|
94.
チョークのシャッターには向きがあるので間違えない様にセット。
シムが軽くて落ちる可能性があるので要注意。
12.の逆要領で固定。 |
|
95.
パーツリストを参照し、ブラケット、グリップハンドル、フロントガードを着
グリップハンドル取り付けネジとフロントガードの取り付けネジが共用になっている。
フロントガードにはスプリングとシムがセットされるので方向を間違えない様注意。 |
|
96.
フロントガードのスプリングはブラケットの穴に差し込む。 |
|
97.
フロントガードが上下に動き、下方向にスプリングで戻る様、確認後、取り付けネジを締める。 |
|
98.
ガイドバー取り付け時、チェーンの張調整ネジのボスと、ガイドバーの穴が合う様にセット。
これを合わせないでカバーを締めると、調整ネジが破損します。
|
|
99.
完成!
みなさんの参考になりましたか?
今後の参考に一言頂けると励みになります。 |